NCRビル(現日本財団ビル)見学会
今日 NCRビル(現日本財団ビル)の見学会であった。奥村昭雄自ら案内してくれた。内田祥哉さん、藤岡洋保さん、三井所さん、安田幸一さんなどの研究者を含め、実に多彩な人が参加してくれ、あちこちのメカニズムを興味深そうに観察していた。
各階とも改修されているから当時の面影がすべてにわたり残っているわけではない。そうであるのにダブルスキンは昔のままであり動作も健在である。また二階奥の立てルーバーもきわめて健全に作動する。黒く発色された各階のスパンドレルも以前のままだ。床をOA化で6センチほど上げていることなどのほか執務階の印象は色調が明るくなった、と言ったほどのもの。一階の室内の改修はさすがに大きく印象を変えているが。
ただし半世紀近い時間の中で、これほどきちんとほぼ以前のままの素材が以前のままに使われ執務空間としての機能を維持しているオフィスビルは珍しいだろう。35パーセントの冷暖房費節減のダブルスキンによる独創の室内気候は実は建築にもやさしく、建築の長寿命化にも大きく貢献していると思う。