エッフェル塔とフォース橋

フォースブリッジを訪れたのはもう10数年も前のことになる。以前から一度見に行きたいものと思い、はるばるエジンバラ郊外に足を運んだのだった。かみさんと子供も同行であった。湾の先の島まで行く船に乗り橋の下をくぐり、橋を渡るディーゼルカーに乗り一駅の旅をした。この折橋の手前の山の上の駅(当時の橋はご存知のとおり帆船のマストをかわすためとても高いところに架けられている)で待つわれわれを車掌が、なんと運転席に誘導してくれたのだった。わたしたちは真正面から込み入ったトラスに突入するめったに見ることのできない光景に出会うことになった。私は明らかに橋を見に来たおのぼりさん、そういった風体であった。首に下げたカメラとビデオで。
エジンバラでは城郊外のマナーハウスも訪れた。かみさんと子供のリクエストも聴かないわけに行かない。そのマナーハウスの図書室でフォースブリッジ竣工時の記念出版物の100年記念の復刻本に遭遇する僥倖に浴することとなった。早速出版社の住所をメモ、エジンバラのその地を訪ね同書を入手することとなる。出版社のスタッフはにこやかにわれわれを迎えたが、2500部限定、購入の際店員が記載してくれた番号が1130であった。(この折買い求めたのは2冊、1冊は帰国後奥村さんに差し上げた。奥村さん所蔵は1129か1131ということだ)内容はもちろん竣工当時の出版物のまま、リトグラフ様の写真、図面、記事によっている。100年の記念に復刻されたわけであるが、良くぞやってくれましたね、と言う気分であった。出版後数年は経っていたのだと記憶するが半分ほどの売り上げ、どうしてこうしたのんびりした商売が彼の国では可能なのだろうか。
この話を思い出したのは先日の紀伊国屋書店でであった本に由来する。店頭にTASCHEN が出版した巨大な復刻本 LA TOUR DE 300 METRES 著GUSTAVE EIFFELがあった。数カ国後の解説があるそこになんと日本語も、当事のままの彩色図面が満載である。特に例の水圧式エレベータの記載は驚くほど念が入っている。100年前もやはりこれが目玉であったのであろう。、当時の出版部数は500今回どれほど印刷されたのか、15000円ほどの価格はそう高くは無い。じっくり見る時間がまだ無い、日本語も読んでいないのだが楽しみが増えた。