【見学会】全日本海員組合本部会館 2022/12/18

私たちが改修設計にかかわっている全日本海員組合本部会館(1964年竣工、設計:大高正人、構造設計:青木繁)の見学会兼ドコモモ・ジャパン選定記念プレート贈呈式が開催されます。
全日本海員組合本部会館は全日本海員組合によって竣工当時から今日まで丁寧に維持管理されてきましたが、老朽化や耐震性の観点から保存・改修を行うことが決まりました。
2017年にはドコモモ・ジャパンの「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」の代表的作品に選定されています。
今回は改修前の姿をご覧いただける貴重な機会となります。

ぜひご参会ください。

 

【全日本海員組合本部会館 見学会+ドコモモ・ジャパン選定記念プレート贈呈式】

日時:2022年12月18日(日)10:00〜13:00
内容:建築解説、プレート贈呈式、見学会
申し込み方法:こちらから、2022年12月16日(金)までにお申し込みください
場所:東京都六本木(詳細は申込者にお知らせします)
参加費:無料
主催:全日本海員組合本部会館歴史調査および将来構想委員会
共催:ドコモモ・ジャパン
【概要】
全日本海員組合は、本部会館(東京都港区六本木、1964年竣工)を保存改修することを決定いたしました。
本部会館は、工業化部材の開発から都市スケールの計画やまちづくりに至る幅広い仕事に取り組み、戦後の建築界を牽引した建築家・大髙正人による設計です。前川國男建築設計事務所から独立したばかりの大髙が手がけたこの本部会館は、大髙が設計チーフを務めた東京文化会館と共通するデザイン要素も多くみられます。一方で、1960年の世界デザイン会議で槇文彦と共に提案した「群造形」の理念に基づき、都市環境の一部でありながら、彫りの深い個性的な表情を持つ建築となっています。
本部会館は全日本海員組合によって非常に丁寧に維持管理されてきましたが、老朽化や耐震問題などにより、2000年代には建て替えも検討されるようになります。しかし、既存不適格である本部会館を建て替えると延床面積が大幅に減ることなどから、結論が出せない状況が続きました。そんな折、2016 年に国立近現代建築資料館にて「社会と建築を結ぶ–大髙正人の仕事」展が開催されるにあたり、現存する大髙建築として本部会館が取り上げられ、その造形と共に状態の良さは建築関係者に感銘を与えました。2017年にはドコモモ・ジャパンにより、「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」の代表的作品として選定されています。こうした動きが後押しとなり、大高事務所出身である野沢正光氏が主宰する野沢正光建築工房の設計による改修が決まりました。改修ではサンクンガーデンの復旧、文化活動等にも利用できる設備と設えへの地下大会議室の更新、展示資料室の新設なども計画されており、竣工後は組合員間のみならず地域の交流の場となることが期待されます。
開発の荒波に呑み込まれる六本木の地にあって、全日本海員組合がその拠点である本部会館の保存改修を決定したことは、極めて稀有なことであると言えます。建築的・歴史的価値をふまえた改修設計とすることを目指して設置された全日本海員組合歴史調査および将来構想委員会は、改修工事の前後に及び改修中に見学会や研究会を開催し、本建築継承の意義を検証し、本部会館が新たな文化的拠点として再生されることを後押しします。
全日本海員組合本部会館将来構想および歴史調査委員会 事務局
頴原 澄子(千葉大学)
藤本 貴子(法政大学)
取材・見学会・イベントに関するお問い合わせ
otaka.rekishi@gmail.com