サイト工業本社屋

宮城県仙台市

©Sight Kougyou

建設地:宮城県仙台市
竣工:2014年12月
規模:平屋
構造:木造
敷地面積:1435.29㎡
建築面積: 541.59㎡
延床面積: 474.51㎡

用途:事務所
設計:野沢正光建築工房
構造設計:山辺構造設計事務所
家具設計:コイズミスタジオ
施工:サイト工業株式会社、株式会社ハウスマイスター、太平電気株式会社、株式会社太平エンジニアリング
設備:OMクワトロソーラーシステム
受賞歴:2015年ウッドデザイン賞

©Sight Kougyou

©Sight Kougyou

©Koizumi Studio

©Koizumi Studio

©Koizumi Studio

©Masamitsu Nozawa Building Workshop

©Masamitsu Nozawa Building Workshop

©Masamitsu Nozawa Building Workshop

敷地は仙台駅より東へ約4km程度、仙台市若林区卸町に位置する。卸売・流通業務機能の集積に特化した地区として整備された卸町は、倉庫・集積所・事務所等が建ち並び、南北に走る格子状の道路やその道路に囲まれた街区の大きさは全てトラックに合わせて計画されているため、比較的大きなスケールのまちである。昨今の卸売業を取り巻く環境の変化、周辺地域の宅地化、また地下鉄の開通に合わせた卸町駅の新設など、地区計画の制定とともに新たな街づくりが求められている地域でもある。元々、建築・土木・躯体工事業を主に営む企業である建て主が、本社屋の建設と併せて地元に密着した木造住宅の建設業への新規参入を計画していたため、この社屋は地元の職人による地元の木材を活用した「木造のオフィス」が相応しいと提案し実現に至った。

本社屋は主にオフィス機能を配した北棟、会議・展示・催し物など多目的に利用できる南棟、それらを繋ぐ廊下状の中央棟で構成されている。敷地南東角にはモデルハウスである太陽熱エネルギー活用型住宅実証棟(平成26年度NEDO助成事業)を本社屋の離れとして計画した。本社屋の北・南棟はオフィスとしての利便性や可変性を確保すべく、壁や柱の少ないがらんどうな空間が求められたが、その空間を地元の職人による地元の木材で実現すべく、地域産材の製材(流通材)を嵌合させ伸長しながら、最大9.1mのスパンを飛ばす架構を計画した。精緻に刻まれた材同士を金物を併用しながら地組みし、2.73mピッチでクレーンを用いて順に建て方を行った。北・南棟は架構を水平に反転した構成とし、仕口や継手など接合部の納まりを標準化することで施工性の向上を図った。
敷地東側には本社屋とモデルハウスに囲まれ、街路に大きく開かれた中庭を計画した。多目的に利用可能な南棟を中心として、定期的に行われる創作活動や料理教室等のワークショップ、また地域のお祭りや催事等にこの中庭が利用されることで、まちの人々に愛される地域に開かれたオフィスとなることを期待している。(K.I)