熊本県和水町立三加和小中学校

熊本県玉名郡和水町

©Kindaikenchikusha

建設地:熊本県和水町
竣工:2013年12月
規模(小学校及び体育館):新築、平屋
規模(中学校)改修、3階建
構造(小学校及び体育館):木造
構造(中学校)RC造
敷地面積:38179 ㎡
建築面積(小学校及び体育館):2145.80㎡
延床面積(小学校及び体育館):1965.17㎡
建築面積(中学校):1615.30㎡
延床面積(中学校):4176.15㎡のうち改修対象面積1713㎡
用途:小中学校

設計:NNSH設計共同体(野沢正光建築工房+一宇一級建築士事務所+UL設計室+東大森裕子時空間設計室)
構造:山辺構造設計事務所
設備:小路設備設計事務所
施工:本山建設(小学校校舎)、三和建設(体育館)、宇都宮建設(中学校改修)、日東システムズ、正興電気商会、有明電設、コゥ・テック
掲載紙:『新建築』2014年3月号(新建築社)、『建築技術』2014年5月号(建築技術)
受賞歴:第10回木の建築賞中国木材ハイブリッド賞、第20回熊本県木材利用大型施設コンクール熊本県賞、第19回木材活用コンクール農林水産大臣賞

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©Masamitsu Nozawa Building Workshop

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©Masamitsu Nozawa Building Workshop

©Masamitsu Nozawa Building Workshop

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2011年10月プロポーザルに応募し、我々が担うことになった既存中学校に小学校を合築するプロジェクトである。過疎化により複式授業となっていた三つの小学校を統合,小中を一か所まとめることにより一貫教育を行う、それに基づく課題であった。我々の提案は平屋の木造小学校を既存中学校の東側の校庭に設ける、余地があると思われる中学校校舎の一部を減築、改修し小学校機能の一部分を入れ込む、というものであった。具体的には教員室に関連する部分と、5,6年生の教室が入る。これによれば新設の木造校舎の実面積は縮減できることになる。計画は具体化の折衝の中で幾分変転した。小中の併設による運営は制度上必ずしも一体の運営とはならないことなどにより一部計画は改変され実施されることとなった。木造校舎は計画時より幾分大きなものとなり屋内体育館も多様な機能に対応するため同様に大きめに改変した。
教室群は既存中学校校舎と校庭のレベル差を利用し3,4年生教室部と1,2年生の教室部に1.2mの段差がある配置としている。

低学年の子供たちに安全な彼らの校庭が目の前に広がる配置である。校庭より1.2m高い3,4年生校舎下部には雨水処理の施設がある。校舎、屋内体育館ともに外気取り入れ太陽熱利用システムが装備されている。これにより冬期の暖房と換気、夏期の夜間冷熱の導入による冷房が果たされる。
架構は杉、すべて熊本県産材である。校舎では「束ね重ね材」による耐力壁の導入、屋内体育館では同材による徐々にせりあがる精密に組み合わされたユニットが美しい。すべての材はミリ単位でその仕口が異なるがCADの教える数値を大工が墨付け加工した。大工という宝のいるこの国ならではの木造大架構となったのではないかと思う。足元に近いところから聳える純粋の木造大架構である。
計画は我々のチームと九州のチームの水平の協働によっている。中村享一、柴田真秀、東大森裕子が我々とともに各々おもに既存改修、屋内体育館、教室棟を担ってくれた。(M.N)