記憶を引き継ぎ新しくする

1. 適正な規模に整え直して快適にする

愛農学園農業高等学校本館再生工事/2011

愛農学園農業高等学校本館再生工事では、耐震性に問題があった築46年の鉄筋工ンクリート造3階建ての校舎を最上階の減築と耐震壁の新設によって耐震改修を行いました。学校側では元々、建て替えを計画していましたが、建物を取り壊して全くの新しい建物を建てるのではなく、様々な体験の記憶が残る校舎を可能な限り残すという方法を学校側に提案し、実現しました。既存躯体を利用することで縮減したコストを、新たな屋根の付加、

外断熱化、OMソーラーの導入等に当てることで、室内の快適性の向上が可能となりました。減築によって不足した分の床面積は後に木造校舎を新築して補っています。建て替えをしないことは解体に伴う廃棄物やCO2の発生を無くすことにもつながり、適正な規模に整え直して快適にするという改修の手法は、今後の人口が減少し建物が余る社会で求められるものであると考えています。

1.改修前の校舎/2.3階部分の切断・撤去/3.屋根の新設とOMソーラーの導入

2. 新たな魅力を吹き込み建物を長く使う

中野弥生町の住宅改修/2011

中野弥生町の住宅では、1階と2階が別宅の長屋形式の住宅を専用住宅へと改修しました。間取り・階段の位置変更に伴い、体力壁と布基礎の増設、床下・天井断熱の付加を行っています。まちに対する構えは変えずに、間取りや設えを変えることで豊かで快適な生活のための空間となりました。

あきる野の住宅では、木造2階建ての母家を減築し平屋建てに改修しました。室内をほぼ全面畳敷きとし、外周部三方には奥行の深い庇を廻して濡れ縁を設け、純和風の趣に変わりました。間取りの変更に伴い、耐震補強、外壁通気の確保、断熱補強、OMソーラーの導入を行っています。

あきる野の住宅改修/2013