まちをつくり風景をつくる

Case1. ソーラータウン府中(東京都府中市)

ソーラータウン府中(以下、ST府中)は、平成23年3月東京都都市整備局より公募された「長寿命環境配慮住宅モデル事業」の事業計画に基づき実現した16戸の戸建て住宅による緑豊かな小さなまちです。

「公園の中に建つように境界線を意識せずに自由に暮らせるまち。」を目指し、各々の敷地の一部を分け合い皆で利用できる「園路」と呼ぶコモン(共有地)を街区の中央に設けました。この園路は各々の地権者相互に結ばれる地役権設定契約により成立しています。自分の敷地の一部を皆で利用できるようお互いに認め合うことで生まれたこの園路は、居住者同士の交流や憩いの場、また小さな子供たちが安全に遊べる遊び場等、街区に住む皆で管理し自由に利用出来る共有の庭となっています。

ST府中には道路境界や隣地境界、またそれぞれの敷地の専有部分と共有部分との境界にフェンスや塀が設けられていないため、一般的には各々の住宅の奥となり薄暗く風通しの悪い場所となりがちな街区の「うら」が、街区内に住む皆が共有して利用できる明るく快適な「おもて」に変容しています。緑に囲まれた園路から快適な採光と通風が得られるよう、各住戸を少しづつ東西にずらして配置した結果、園路には小さな広場も生まれました。ベンチや手押しのポンプが設けられたその広場では、居住者同士のバーベキューも頻繁に行われ、園路の中心として密に利用されています。アスファルトやコンクリートで舗装されていないこの園路は、樹木による緑陰効果とも相成り、街区内に涼風を生み出す「微気候」を作ります。

Case2. むさし野iタウン(東京都東村山市)

むさし野iタウンは、平成16年東京都都市整備局により公募された「東村山市本町地区プロジェクト」のプロポーザルにより実現したまちです。日本の木造住宅の寿命が30年程度と言われる中、このプロポーザルでが70年(東京都が所有する土地の定期借地権の年数)という長期利用に耐え、かつ建物としての性能を下げることなくコストを抑えるという命題が掲げられました。この難しい課題に対し、我々は在来工法における徹底した「スケルトン・インフィル」に取り組むとともに、建物の配置や植栽の計画、外壁やバルコニーの手すりなどの素材などの選定において、美しく成熟していく姿を想定し、計画を進めました。

永く使い続けることの出来る住宅には、永く使い続けたいと思える住環境が不可欠です。長い年月を経て成熟する緑や建物のある風景は、その住環境の重要な一因であることは言うまでもありません。住宅の建替えとともに切り倒されることの多い大きな木々が出来る限り永く残るよう、住宅自身が長寿命であることを念頭に設計に取り組んでいます。住宅を計画することは住宅地の風景を造ることに繋がります。永く住み続けたいと思える風景を繋げ拡げていくことこそ、我々が果たすことのできる地球環境問題に対する一つの答えなのではないでしょうか。