環境との共生

1.環境と応答する

野沢正光建築工房では事務所設立当初より、自然エネルギーの利用にとどまらず、豊かな周辺・外部環境とともにある、環境と応答する建築に取り組んできました。使い手にとって豊かで魅力的な空間は、豊かな外部空間と快適な室内環境があってこそ成り立つと考えます。相模原の住宅は、敷地に元々あった大きなせんだんの木を残し、それを活かして建物を配置することで、敷地の中にいくつかの庭を持っています。太陽熱を利用した空気集熱式パッシブソーラーシステム(OMソーラー)に始まり、快適な室内環境をつくるための仕掛け、

豊かに暮らすための仕掛け等、生活を支える様々な要素が統合されています。ソフトからハードまで、多様な要素が統合されるところに、建築のおもしろさがあると考えています。OMソーラーはその後も住宅や病院、福祉施設、保育園など様々な用途の建築に積極的に導入しています。この相模原の住宅は、自然エネルギー利用や周辺環境との関係のつくり方、建物の構成・構築の方法等、これまでの設計に対する考え方・姿勢のベースになっているともいえる建築です。

相模原の住宅/1992

2.環境と共生する持続可能な建築

上:阿品土谷病院/1987 (木曽三岳奥村設計所と共同設計)
下:立川市庁舎/2010 (山下設計と共同設計)

阿品土谷病院では、パッシプシステムとアクティブシステムを組み合わせることによって、省エネと低ランニングコスト化を図りつつ、病院に求められる安定した室温と,清浄な空気による室内気候を実現しています。空調には、屋根面で集めた太陽熱を各病室のコンクリート躯体に蓄熱するシステムと機械的空調を一体化させた方式を採用しています。そしてそれらをより効果的なものとするための建築的な処置として、病室の窓にルーバーをつけ夏の日差しを遮り、蓄熱床と障子をもったバッファーゾーンとしての小さなサンスペースを設けました。

立川市庁舎においては、100年をめざし長く使い続けられるよう、環境負荷を低減する様々な取り組みを行いました。低層大平面のわかりやすい空間構成をベースに、太陽光発電利用、自然換気、地中熱利用、雨水利用、排熱の有効利用等を行う環境配慮型の庁舎です。大平面に穿たれた中庭から通風・採光をし、西側の緑あふれる道路に面する側は西日除けを兼ねた庇の深い段上のテラスとしています。また、構造システムと一体化した空調システムを実現し、空調負荷を低減する蓄熱型の温熱環境の形成を試みています。自然エネルギーを有効に活かす建物の構成とアクティブなシステムを効果的に組み合わせることによって、市民のための快適で使いやすい空間となっています。

3.環境共生のこれからの展開

生長の家”森の中のオフィス”/2010 (基本設計:野沢正光建築工房 設計監理施工:(株)清水建設)

生長の家”森の中のオフィス”は、八ヶ岳山麓のなだらかな斜面に位置し、自然環境と調和したモデル社会づくりを目指して構想された木造のオフィスです。敷地高低差を利用した建物配置とし、自然エネルギーの活用による省エネと、太陽光発電システム、豊富な木質バイオマスを利用した木質バイオマスガス化コジェネレーションシステム、

木質ペレットボイラー、大容量蓄電池とそれを制御するマイクログリッドシステムを採用した、日本初のゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)となる環境共生型の建築を実現しました。実測の結果、創出分が消費量を超えるプラス・エネルギー・ビルディング(PEB)となっています。今後の社会に求められる様々な状況に応える環境共生型の建築を提案していきます。