高根沢内科クリニック

栃木県真岡市

建設地:栃木県真岡市
竣工:1999年11月
規模:地上2階
構造:鉄骨造
敷地面積:713.00㎡(約216坪)
建築面積:353.61㎡(約107坪)
延床面積:425.73㎡(約129坪)
設備:OMソーラーシステム(集熱暖房・補助暖房・お湯採り)
設計:野沢正光建築工房
施工:深谷建設

栃木県真岡市は関東平野の中央に位置し,冬期の日照条件,夏期の夜間の天空放射とも十分に期待できる太陽エネルギー利用の好適地である. 敷地は東と北に桜並木の歩行者路を持つ,恵まれた立地である. 施設は駐車スペースを持つクリニックと住まいであり,それらを敷地内に並列に配置している. 大きく見ると南のクリニックは駐車場に面し,北側に置かれたすまいはクリニックの壁を南に見るコートハウス状の構成である. 各々の建物とも桜並木に面する側に2階部分の居室をもっているが,ここにはプライベートな諸室が配されている. すまいとクリニックは,1階では2階個室下に位置する中庭の開かれたデッキ部分で和室と1階院長室,2階では屋根上デッキ部分で個室と2階院長室が各々っながれており,建築としての連続性を保ちながら,外部を介してプライベートとパブリックが緩やかに分離している.

クリニックの東西に長い2階塔屋南面は,外気取り入れ空気集熱タイプのソーラーコレクターであるが,その内側は吹抜けとなっていて,北側の開口部からの散乱光が日中の暗くなりがちな部分を満たし,人工光の使用を抑えている.またこの北側高所開口部が中間期,夏期の夜間などのドラフトによる換気を促す.ここで採用した換気を伴うパッシプソーラーシステムは,病院クリニックなどの空気質を問われる施設に好適で,そうした施設に特有の臭気が無いこともその利点となる.
鉄骨造の躯体は,気密断熱層をその外側に覆うように設けることにより室内側に置かれるよう計画し,ヒートブリッジの無い設計とした. 2階の外皮,屋根はステンレス薄板の熔接工法によっているが,これにより建物をフラットルーフとして計画することが可能となった.